また、「遺贈」とは、財産の全部あるいは一部を、
相続人または相続人以外の人に無償で譲渡することを言います。
よく似た言葉に「相続」というものがありますが、
相続は法定相続人(通常は亡くなった人の配偶者)のみ適用することが出来るため、
法定相続人以外に財産を譲渡する場合は「遺贈」を選択しなければなりません。
相続と遺贈の違いは、法定相続人に財産を引き継がせるか、
法定相続人以外の人に財産を譲渡するかです。
この基礎知識を頭に入れた上で、
遺贈の一つである「清算型遺贈」について考えていきましょう。
清算型遺贈は、前述のように相続する財産を売却して、
経費を差し引いた上で売却代金を譲渡することを指します。
清算型遺贈は誰でも行えるわけではなく、
遺言執行者と呼ばれる者だけが行うことが出来ます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現させるために選ばれた人のことで、
通常は遺言書によって指定されます。
ただ、亡くなった人が生前書いた遺言書に、
遺言執行者が指定されていないケースも多くあります。
その場合は、相続人全員が遺言執行者として一切の義務を負うことになります。
中には専門家に依頼して、遺言執行者を代行してもらうケースもあります。
いずれにしろ、遺言執行者は、相続する財産の売却、そして
売却によって得た代金を受遺者(財産を引き継ぐ人)に交付する役割を担うため、
重大な責任が伴います。
場合によっては争い事にも発展しかねないため、
遺言執行者になった場合は十分に注意が必要です。
さて、実際に清算型遺贈を執行するにあたり、
必ず行わなければならない手続きがあります。
それは、「不動産登記手続き」です。
この手続きは、前述の遺言執行者が遺言執行者名義で行います。
本来、相続による不動産の所有権移転登記は
遺言執行者が関与することは出来ませんが、
清算型遺贈の場合は単に遺言の目的を達成する一過程にすぎないため、
例外的に関与が認められています。
そして、忘れてはいけないのが「譲渡所得税」の存在です。
清算型遺贈は、遺言執行者が財産を売却して
その代金を受遺者に交付することを指しますが、形式上は
いったん相続人に所有権が移り、相続人の名義で財産を売却することになります。
そのため、売却した代金がいったん相続人に入ってから
受遺者に交付することとなるため、相続人に対して譲渡所得税が課せられます。
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