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父を定める訴訟について

裁判所は審理して、前の父か後の父のどちらかを父に認定します。
ただし、重婚などの例は現実には起こりにくいので、
実際に父を定める訴訟がなされるのはまれであるといってよいでしょう。
そうであっても父性重複による子の不利益回避のため、法はこの訴訟を準備しています。

 

1、制度の存在意義
  そもそも、2重の父子推定はどのようにして生じるのでしょうか。検証します。
  民法は再婚禁止期間を前婚の解消または取り消しの日から6か月と規定しています
  (民法733条1項)。

 

  しかし、この規定を無視して、前婚の解消から20日後に再婚したとしましょう。
  婚姻の形式的要件として届け出が必要になりますが(民法739条1項)、
  これが誤って受理されたとします。
  現実にはあまり考えられないことですが、こう想定します。
  そのため、子の訴えはなかなかまれなケースになるのです。

 

  そして、前婚の解消後250日目、後婚の成立後230日目に
  子供が生まれたとしましょう。
  民法772条1項によると、前婚の解消後300日以内に、そして、
  後婚の200日後であれば、ともに嫡出子として推定されます。
  ここに父性の重複が生じるのです。

 

  このような場合、外観からはどちらの子かはわかりません
  (もちろん似ている似ていないはあるとは思いますが)。
  このような場合に備えて、裁判所がこの父は前の夫か後の夫かを
  決定することができるようにしたのが 「父を定める訴訟」なのです。

 

2、根拠条文
  父を定める訴訟の根拠条文は、民法773条にあります。

  773条では再婚禁止期間に違反した場合しか規定していませんが、
  判例通説では、重婚関係が生じたために父性重複が起きた場合にも、
  この規定が準用されるとされています。

 

  ただし、重婚自体も届け出が受理されることはまれなので、
  このケースもほとんどないでしょう。
  ちなみに、刑法では重婚罪を規定が存在します。

 

3、提訴の要件
  父を定める訴訟の提訴権者は人事訴訟法43条が規定します。
  つまり、子、母、前夫、後夫に限定されます。
  父性重複に利害関係があるものに限定したうえで、
  適正な親子関係の形成を目的にするためです。

 

  また、父を定める訴訟の提起期間に制限はありません。
  いつでも提起することが可能です。
  父性重複がが子などに及ぼす不利益の重大性を考慮したものと思われます。

関連する参考用語

嫡出子とは

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