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夫が生前に、前妻との間にもうけた子どもには、相続放棄してほしい

このページでは、亡くなったご主人と前妻との間に子どもがいらっしゃり、
その子も亡き夫の相続人になるご家族のことについて、
お伝えをさせていただいています。 

相続関係者

関係者 
被相続人の妻(山田 等子さん)
被相続人の子(山田 一男さん) 

被相続人の前妻の子(山田 相子さん) 

※すべて仮名です。

相続手続支援センターへの依頼のきっかけ

御主人山田太郎さんを亡くしてまもなく、
等子さんは、某相続専門の会社に手続きを依頼しました。

 

ところが、提示された見積もり金額に納得できず、
また、親身な感じを受けないという理由で、
等子さんは、 その某相続専門の会社への依頼を断られました。

 

そののち、相続手続支援センターに相談へいらっしゃいました。
相続手続支援センターの手続き前の見積もり提示と、
サービス内容の説明を受け、
等子さんは、大変わかりやすく親切であると感じ、 手続きを依頼されました。

相続を放棄してほしいという想い

手続きを進めるにあたり、
等子さんは、ご主人の前妻の子の山田相子さんに、
相続放棄をしてもらいたいと考えていました。

 

そこで、等子さんは、
相続手続支援センター経由で、
山田相子さんあてに次のことを伝えるとともに、
誠意を伝えるため、預金や借金の残高証明を送りました。

 

1  自宅の名義は、確かに亡くなった夫である。
  しかし、長年に渡って、夫と一緒に会社を運営して得たお金で建てた家であり、
  実質は夫婦で築いた共有の財産であること。
  この自宅を仮に手放すと、住む家を失うので自分が相続したいこと。

2 夫の借金も相続していて、その返済の原資である現金を自分が相続したいこと。

相続手続を進めた結果

等子さんは、
その後、 相続手続支援センターからの報告により、
『山田相子さんは、こころよく相続放棄を承諾し、
家庭裁判所による、相続放棄の手続きを行い、
山田相子さんは、相続放棄の受理証明書をセンターに送られた』
ことを知りました。

 

その後、 ご自身の息子さんと遺産分割協議書を作成し、
不動産の名義書き換え、抵当権の抹消手続きを行い、
無事に手続きを完了させました。

相続手続、本件の解決のポイント

手前味噌ですが相続手続支援センターが、
山田相子さんのお気持ちに配慮しつつ対応したことで、
円満にすすんだのでしょう。

 

結果、等子さんは、山田相子さんより、
相続にまつわる家族の状況につき、 ご理解とご協力を得られました。

 

 

このご相談の紹介はここまでになります。

 

 

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1 前妻の子が相続人にいらっしゃる場合について

ここでは、相続人の中に、前妻の子がいらっしゃるときのことについて、
いくつかのことをご紹介します。

前妻の子を抜きに遺産分けの話し合いをできる?

遺産をどう分けるかの話し合いは、
相続人全員で行ってはじめて有効なものになります。

 

あなたから見て前妻の子を外して遺産分割協議をしても、
それは無効になってしまいます。

 

連絡先を知らないこと、連絡先を知っていても連絡を取りたくないこと、
連絡を試みたけれど返事をもらえないこと、
これらのことは、話し合いから外していい理由になりません。

 

連絡先を知らないのなら、住民票をどこに置いているか調べます。

連絡を取りたくないのであれば、代理人や使者を立て連絡をとります。

返事をもらえない場合は、家庭裁判所に通知をだしてもらう。

 

こういった方法をとって、なんとか全員で話し合うことが、
遺産分割協議を有効にするために必要です。

遺言があれば、前妻の子の相続分をなしにできる?

お亡くなりになられた方が、
お元気なうちに仮に遺言を書いていらっしゃったとします。
この遺言によると、前妻の子の相続分はまったくありません。
こういう場合、
前妻の子にまったく相続させずに手続きをとれるのでしょうか。

 

前妻の子のお考え次第です。
前妻の子が
「遺言の通りでよい」
というお考えであれば、
遺言の内容のまま相続の手続きを進められます。

 

一方で、「自分の権利分を相続したい」
と、請求をうけると前妻の子の権利分
(遺留分といいます)を無しにはできません。

遺言のあることを黙っていればいい?

「遺言のあることを前妻の子に隠しておけば、
遺留分を請求されることもないのでは?」
こう口になさる方がいらっしゃいます。

 

これは正しいのでしょうか?

 

遺言の種類によって異なります。
まず、遺言が手書きもの(自筆証書遺言といいます)の場合です。
この自筆証書遺言が法務局にあずけられていなかった場合、
(自宅や銀行の貸金庫などから見つかった場合です。)は、
前妻の子に遺言の存在を黙っておけません。

 

なぜなら、遺言の検認という手続きしなければいけません。
この手続きの中で、遺言の存在を家庭裁判所が前妻の子に通知するからです。
これは法律で決められていることです。

つぎに、遺言が公正証書でできた遺言ならどうでしょうか。
この場合、
遺言執行者が遺言の中で定められているかどうかによって、
変わります。

 

定められている場合なら、
辞退する場合は別として、
遺言執行者は相続人の全員に
「遺言執行者に就任しました」

という通知をしなければなりません。

 

前妻の子にあたる相続人にも通知をだしますから、
遺言のことを黙っておくことはできません。

遺言が公正証書で、
遺言執行者が定められていない、または定められていた方が辞退した、
この場合は前妻の子に遺言のことを黙っておけるでしょうか。

 

黙っておくことはできるといえばできるかもしれません。
法律に「前妻の子に伝えなければならない」という決まり確かにありません。

 

とはいえ、遺言の内容を隠しておけば、遺言通りにできるわけではありません。
といいますのも、遺留分の請求をできる期間の決まりがあるからです。

 

前妻の子が遺言の存在を知らない場合についてお伝えします。
前妻の子は、遺言を書いた方を亡くしてから10年の間なら、
遺留分を請求できる権利をもっています。

言い方を変えますと、
遺言の存在をもし黙っておくと、
10年もの間を
「遺留分を請求されるかどうかわからない不安定な状態」
ですごすことになります。

 

遺言の存在を前妻の子に伝えたとします。
すると、法律により、
前妻の子が遺留分を請求できるのは、
自分が遺留分を請求できると知った時から1年です。

 

つまり、1年たてば、
遺留分の請求を受けるのか、受けないのかははっきりします。

2 前妻の子として相続人になったので、遺産を把握したい

下のようなご相談をいただくことがあります。

 

父を亡くし、自分は父の前妻の子です。
父には再婚相手とこの後妻との間の子がいます。
後妻からみせてもらった遺産の内訳があいまいです。

 

銀行口座名はかいていあるけれど、残高が本当かどうかあやしい。

きちんと遺産を把握したいのだけれど、どうしたらよいのか。

 

 

遺産をはあくする方法はいくつかあります。
まずは、
亡くされたお父さまの相続人である旨を証明する書類を用意します。
戸籍謄本などがこれにあたります。

 

相続人であれば、
銀行などの金融機関に、お父さまの口座の取引明細を出してもらえます。
すくなくても過去1年以上の明細を取り寄せるといいでしょう。
取引の明細を見て、もし、不自然だと感じる取引があるようなら、
さらにその前の取引明細を調べてもいいかもしれません。

不動産についてもある程度調べられます。
自分は父の前妻の子であり、
父の相続人であることをまず戸籍で証明できるように書類を整えます。

 

父の自宅のある市区町村役場に
「父に固定資産税をかけている不動産を、すべて記載した資料を欲しい」
といった旨を伝えましょう。

 

そうすれば、
この市区町村役場にあるお父さんの名義の不動産をしることができます。

 

法務局で、お父さんの不動産の登記事項を確認します。
このとき、「共同担保目録」付きで書類を取得します。

 

これは、お金を借りるときに担保に提供した不動産の目録です。
もし、以前にお父さんが金融機関からお金を借りていて、
いくつかの市区町村にある不動産を担保にしていたとします。
すると、他の市区町村にお父さんが持っている不動産を見つけられます。

前妻の子として、父が後妻の子におこなった生前贈与にもの申したい

故人であるお父さんは、
健在の時に、後妻の子どもにだけ1000万円近く贈与をしていたようです。
この事実を前妻の子として、父の死ののちに知りました。

 

相続人は、前妻の子と後妻の子の2名です。
父は亡くなったときに、預金を1000万円残しました。

 

こんなとき、父が残した1000万円を半分ずつにしないといけないのでしょうか。
実は、特別受益という制度があります。後妻の子に贈与した1000万円がこれにあたります。
この1000万円を計算上、遺産にくわえます。これを持ち戻しといいます。
すると、遺産は計算の上では2000万円になります。

 

この2000万円を後妻のこと、前妻の子が半分ずつ分けるのです。
一人1000万円になります。
後妻の子は、お父さんの生前にすでに1000万円を受け取っています。

 

お父さんの残した1000万円をすべて、前妻の子がうけとることになります。

仮に、お父さんが遺言で後妻の子にすべての財産を相続させる、
と書いていたとします。

 

前妻の子の遺留分の計算の際にも、上で書いた特別受益と持ち戻しを考慮できます。
つまり、2000万円に対し、遺留分を計算できることになります。

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前妻・後妻と相続にについてよくある質問

ここから下は、
次のようなことに関してよくいただく質問とその解説をご紹介します。
・被相続人が離婚と再婚をしている。
・被相続人の再婚相手に連れ子がいる。
・被相続人は複数の女性との間に子をもうけている。

自分は後妻です。自分も名義を半分持っている夫と私の自宅はどうなりますか。

自宅の不動産のうち、
後妻が持っている半分については、相続の影響を受けません。

 

遺言のない場合、
残りの夫の名義の半分については、
相続人全員で話し合って決める遺産になります。
後妻のものに自動的になるわけではありません。

 

遺言があれば、遺言の通りになります。

連れ子に相続の権利はあるのでしょうか?

質問)
父を亡くしました。私の実母は父から見ると前妻です。
私の実母と離婚した後に、父は再婚しています。
父の再婚相手の女性にも離婚歴があって、
父とは再婚です。再婚相手の女性には、前の夫との間に子どもがいます。

 

父は再婚後、後妻の連れ子とずっとくらしています。
後妻の連れ子は父を相続する権利をもっているのでしょうか?

 

答え)
再婚相手の連れ子に相続権はありません。
ずっと一緒に暮らしていても、
お父さんと連れ子さんとの間に法律上の親子関係がないからです。
再婚すると、連れ子がお父さんの子どもに当然になるわけではありません。

 

ただし、連れ子とお父さんが養子縁組をしていますと、
連れ子はお父さんの子どもになり、相続人になります。

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後妻から相続の連絡がないがどうなっている?

質問)
私は父から見ると前妻の子です。私は最近父を亡くしました。
このことを、父の後妻からの手紙でしりました。
この手紙には、父が亡くなったことと、葬儀は済んでいることしか書かれていません。

 

それから数か月たちますが、後妻からは相続のことについて何も連絡をうけていません。
後妻は自分だけで父の遺産を相続してしまっているのでしょうか。
そんなことをできるのでしょうか。父の相続人は私と、父の後妻の2人のはずです。

 

答え)
お父さんの奥さま(後妻の方)が、
一人で遺産を相続する手続きをできるかどうかは、
遺言のあり・なしによって変わってきます。

 

◆遺言がない場合
お父さんの妻は、一人で遺産相続の手続きをできません。
相続人全員が「遺産をどうわけるのか」について合意しないと、
遺産の相続をできないからです。とはいえ、注意した方がいいこともあります。

 

それは、お父さんの預金口座から妻が預金を引き出している可能性があるという点です。
妻が夫の預金口座のキャッシュカードの暗証番号を知っていることはよくあります。
お父さんの生前に、妻が預金を引き出していて、
すでにお父さんの口座の残高がほとんどないということもあります。
すると、妻は何の相続の手続きもせず、
他の相続人にも連絡をせずともお父さんの預金をご自身の口座に入金できます。

 

もちろん、妻が勝手に引き出したお父さんの預金はお父さんのお金です。
たとえ、それがいま妻の口座に入っていても遺産になります。

 

◆遺言のある場合
遺言の内容によっては、お父さんの遺産を相続する手続きを、
妻が一人ですすめられます。
たとえば「すべての財産を妻に相続させる」というような遺言の場合です。

 

なお、遺言は大きく分けて2種類あります。
一つは、遺言を持っているのは書いた人だけ、という遺言、
(自筆で書いて自分で保管する遺言です)
もうひとつは、遺言の原本を公の機関である公証役場、
または法務局が持っているという遺言です。

 

もし、お父さんが一つ目の種類の遺言を書いていたならば、
妻は家庭裁判所で遺言の検認という手続きをふまないと、相続の手続きをできません。
この検認の手続きの際に、家庭裁判所から相続人全員は手続きの知らせを受けます。

 

一方、お父さんが二つめの種類(公正証書遺言など)の遺言を書いていたならば、
何の手続きもとらずに、妻は遺言をもとに遺産を相続できます。
相続人全員に公の機関からのお知らせが届くこともありません。

 

公正証書をお父さんが残しているかどうかを、ご自宅の近くの公証役場で確認できます。
その際の持ち物として何が必要なのかを、
公証役場に確認してから足を運ばれるとよいでしょう。
一般的にはお父さんが亡くなったことを証明できる戸籍と、
自分が相続人だと証明できる戸籍、ご自身の身分証明書が少なくても必要です。

 

下は、公証役場がどこにあるかと連絡先を確認できるホームページです。
日本公証人連合会の公証役場一覧のページへ

追伸

「わからないことがある」「個別のアドバイスがほしい」

などとおっしゃる方は、お気軽にご相談ください。

相談は無料で行っています。

無料相談をご利用になり、信頼していただき、

結果として手続をおまかせいただければ幸いですが、

実際にはアドバイスだけで終わる方も多くいらっしゃいます。

当センターとしては、それでもかまわないと考えています。

「相続手続支援センター名古屋」という存在を知っていただくことが、

とても大事だと思うからです。

 

まずは、お問合せだけでもされてみてはいかがでしょうか。

と、いくら申しましても、「業者のいうことだから・・」と思われる方も

いるかもしれません。

それでも、相続手続支援センター名古屋の思いをお伝えしないよりも、

お伝えした方がいいと思い、書かせていただきました。

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