HOME > 相続かわら版 > 相続の法律の改正

相続に関する法律の改正の主な内容

平成30年7月に相続に関する民法がいくつか改正されました。

改正された法律が適用される時期は、改正された項目ごとにちがいます
原則として、
令和元年(2019年)の7月までには施行(法律が実施されること)されます。

 

令和2年以降に施行予定になっている例外の項目は、
「配偶者の居住の権利」「遺言の保管制度」です。

 

このページで使っている 『遺産分割協議』 という言葉は
『遺産をだれが、どのように相続するのかの話し合い』 のことです。

改正された相続法の内容の箇条書きです

  1. 配偶者の居住の権利(令和2年7月までには運用開始予定)
     配偶者の自宅に住み続ける権利が確保されます。
     相続できる預金が多くなります。
  2. 遺産の分け方(遺産分割)について
     夫婦間で自宅を贈与した時に優遇されます。
     遺産分けの話し合いの前の預金引き出しが可能になります。
  3. 遺言の制度の一部を見直し
     財産目録が自筆以外でも有効になります。
     法務局で自筆の遺言を保管できるようになります。
  4. 遺留分の制度の変更
     遺留分を、遺産というものではなく、お金で解決することになります。
  5. 遺産相続の手続きの効力
     不動産の登記の重要性が増しました。
  6. 相続人以外による特別な寄与のこと
    被相続人を介護した相続人ではない人が、
    相続人に金銭を請求できるようになりました。

配偶者の居住の権利(令和2年7月までには運用開始予定)

1)配偶者居住権
遺産の自宅不動産に対して故人さまが持っていた所有権という権利を、
次の2つに分ける制度です。

 

 @ 配偶者が自宅不動産を住むために使用できる権利(配偶者の居住権)
 A 所有権(ただし、配偶者に住まわせるという条件つき)
@を配偶者が相続すれば、配偶者はずっと自宅に住み続けられます。
自宅の所有権を相続しなくてもです。

 

配偶者居住権を配偶者が相続したうえで、
法律で決まった割合の通りに遺産を相続するとします
(子どもがいる場合なら、半分)。
すると配偶者は、
預金や現金を、自宅不動産を相続する場合に比べてたくさん相続できます。

 

なぜなら、配偶者居住権の価値を金額に換算すると、
所有権の価格よりも安くなるからです。
所有権という権利の一部分が配偶者居住権なので、評価は安くなります。

 

2) 短期居住権
配偶者は、自宅に一定の間、無料で住み続けられます。
一定の期間というのは、遺言のありなしでちがいます。

 

『遺言の無い場合』
次の2つの日のうち、遅い方までです。
@ 遺言や遺産分けの話し合いで、自宅を相続する人が決まるまで。
A 故人さまを亡くしてから6か月。

 

『遺言のある場合』
自宅を相続した人から
「出て行ってください」
と、配偶者が言われてから6か月。

遺産の分け方(遺産分割)について

1) 20年以上連れ添ってきた夫婦間における自宅の贈与について。
自宅を配偶者がもう片方の配偶者に贈与したとします。
自宅をあげた方が亡くなった後、
『この自宅の価値を、遺産分けの話し合いの時に考慮しなくてよい』。
これが、改正後の内容です。

 

2) 預貯金を遺産分けの話し合いがまとまる前に、引き出しできる制度です。
次の二つの方法があります。
A 家庭裁判所に認めてもらう
B 相続人ならひとりで手続できる。
ただし、引き出しできる額に上限があります。

 

3) 「遺産の中の一部だけについて話し合いをまとめることができる」
この旨が法律にはっきりと記載されました。

 

4) 遺産分割協議がまとまる前に、
   一部の相続人が預金を引き出すなど財産を処分した時のことに関する制度です。

処分された遺産が存在するものとして扱うことができるようになりました。
要件は、処分した人以外の相続人の全員がこの扱いに合意することです。

 

くわしい遺産の分けかた(遺産分割)についての民法改正を、こ
ちらからご覧いただけます。

遺言の制度の一部を見直し

1) 自筆で書く遺言書の条件がゆるまりました。
自筆で書く遺言(自筆証書遺言といいます)に併せる財産の一覧表を、
自筆でなくても有効にする制度です。
(平成31年1月に運用開始)
本文はいままでとおりです。自筆で書くことで遺言が有効になります。

 

 

2) 自筆証書遺言を法務局で保管する制度ができました。
   (令和2年7月までに運用される予定)

自分が手で書いた遺言を法務局に保管してもらう制度です。

 

この制度を使うと遺言の検認は不要になります。
遺言の検認というのは、遺言を書いた方が亡くなったとき、
遺言の存在を家庭裁判所に認めてもらう手続きです。
必ずしなければならない決まりになっています。

遺言の制度の一部を見直し

1) 遺留分を計算するとき、遺産に加える過去の贈与などについて、
   規定がかわりました。

 

2) 遺留分を侵害されたときの解決は、金銭によって行われることになりました。
   いままでは、遺産そのものに対して、一部を自分のものすることが原則でした

遺産相続の手続きの効力

不動産の登記が今まで以上に大切になりました。
といいますのも、不動産を相続した人は、
登記しないと、次のことを主張できなくなったからです。
『この不動産は自分の不動産です』

 

ただし、法定相続分の割合(子のいる配偶者なら、1/2)までなら、
他人らに登記しなくても主張できます。

相続人以外で寄与分のこと

被相続人の介護をしていたなど、一定の要件を満たす人は、
相続人に金銭'を請求できる制度です。
請求できる金銭のことを法律では「特別寄与料」といいます。

 

特別寄与料を請求できる一定の要件に、下の3つがあります。

  • 親族であること。(親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族です)
  • 相続人ではないこと。※
  • 介護などをしていた時に対価をもらっていないこと。
※民法の改正以前からある、寄与分という制度によって、
条件を満たせば、相続人は、金銭を遺産から受け取ることができます。
 
特別寄与料の請求についてくわしくはこちらでご覧いただけます。
追伸

「わからないことがある」「個別のアドバイスがほしい」

などとおっしゃる方は、お気軽にご相談ください。

相談は無料で行っています。

無料相談をご利用になり、信頼していただき、

結果として手続をおまかせいただければ幸いですが、

実際にはアドバイスだけで終わる方も多くいらっしゃいます。

当センターとしては、それでもかまわないと考えています。

「相続手続支援センター名古屋」という存在を知っていただくことが、

とても大事だと思うからです。

 

まずは、お問合せだけでもされてみてはいかがでしょうか。

と、いくら申しましても、「業者のいうことだから・・」と思われる方も

いるかもしれません。

それでも、相続手続支援センター名古屋の思いをお伝えしないよりも、

お伝えした方がいいと思い、書かせていただきました。

ページの先頭へ