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信託の専門家との対談(前編)

みなさん、こんにちは!夏真っ盛りですね。


近年、『家族信託』という言葉に代表されるように、
『信託』という言葉をよく耳にするようになりました。

 

私たちも、お客さまから、
「信託っていったいなんなの?」 「難しいの?」
というお声をいただくことがあります。

 

そんな話題の『信託』について、
今回は、信託のスペシャリストに、お話をいただきました。

 

【対談者】
◇株式会社継志舎 
   代表取締役、一般社団法人民事信託活用支援機構 理事 石脇俊司(以下、「石脇」)
◇相続手続支援センター名古屋 佐藤(以下、「佐藤」)

信託っていったい何?

佐藤:
近年、家族信託ということばをよく聞くようになりましたね。さっそくですが、
信託とはどういったものか簡単に教えてください。

 

石脇:
信託とは、基本的には、「財産の管理」と「財産の承継」をするということです。
たとえば、自分の財産の管理を、息子さんに任せる。
また、将来、その財産を息子さんに承継させる。こういったことになります。

 

佐藤:
財産の管理を任せるということと、
その財産を誰に継がせたいかを決めるということですね。

遺言や後見制度と似ているように感じるのですが、違いは何ですか?

 

石脇:
遺言は、その人が、亡くなった時点での遺産の分割手続きです。
財産を誰に継がせたいかという思いを実現する、つまりは財産の承継を行うことです。
また、後見制度というのは、
その人の意思能力がなくなってしまった時から亡くなるまでの期間の、
財産を管理する制度です。

 

一方、信託というのは、信託契約という契約を交わした時からずっと、
その人の意思能力のあるなしに関わらず、財産の管理を家族に任せます。
さらに、その人が亡くなった後、
その財産を次に誰に継がせるかということも指定できます。

 

遺言や後見制度に比べて、期間の長い制度といえますね。

 

佐藤:
「こういう場合は家族信託を使うと上手くいく」
という例を教えていただけますか?

 

石脇:わたしが最近経験した話です。
ご高齢の地主さんがいらっしゃり、
日頃の財産管理はすべて、ご長男に任されていました。
そのご長男から、
「財産を管理するにも、このままでは法的に問題があるのではないか」
と、ご相談を受けました。

 

そこでわたしから、信託という制度を使うことをご提案しました。
どういうことかというと、地主さんの財産の名義を、
ご長男名義に引き継ぎ、ご長男が、地主である親御さんのために、
正式に財産を管理するということです。

 

その内容を、親御さんである地主さんにも話をしたところ、
地主さんからも、
「もともと息子を信頼して任せているので、信託という方法をとることで、
法律的にも問題がなくなるのであれば、ぜひやりたいです。」
と快諾していただけました。

佐藤:
これまで自然にご長男に任せていたことを、
法律的にも問題がないようにきちんと整えることで、
管理するご長男とそれを任せる地主さんの両方が安心、ということですね。

 

石脇:
信託とは、ことばの通り、
「信じて託す」
ことです。

 

つまりは
「信頼できる家族に任せる。」
そんな制度なんです。
例えば、一人暮らしのご高齢の人が、自宅での生活が困難となったとします。
そのため、その自宅を売って、施設に行くことを、家族みんなで決めたとします。

しかし、そのご高齢の人が、認知症気味で本人の意思が弱くなってきていては、
自宅を売ることもできないのが現状です。

 

そういった将来の不安から、いま元気なうちから、
あらかじめ、子どもに自宅を信託するというケースも増えていますね。

 

佐藤:
自宅などの不動産を信託する場合は、
将来的にその不動産を売却する可能性があることが多いのでしょうか?

 

石脇:
そうですね。他には、賃貸アパートなどの賃貸物件をお持ちの場合が多いです。
賃貸アパートをお持ちの場合、定期的に修繕工事をしないといけないのですが、
この「修繕」というのも、ご本人の判断がないとできません。
高齢になり認知症気味になると、
「賃貸アパートを修繕する」
という判断ができなくなってしまうことがあります。
そうすると、明らかに修繕が必要な賃貸アパートであっても、現実的には修繕ができないのです。

佐藤:
そうなってしまうと、やはり後見制度を使う、ということになりますか?

 

石脇:
それが、後見制度を使ったとしても解決できない場合が、往々にしてあるんです。
後見制度を使い、認知症の人に後見人がついたとしても、
「賃貸アパートの修繕をしていいか」
を判断するのは、後見人ではなく家庭裁判所です。
その家庭裁判所が、アパートの修繕をすべて認めてくれるかといったら、
それは事情によりますね。認められない場合もあります。

 

佐藤:
後見制度は、
後見される人(認知症の人)の財産を減らさないことを重要視されるからですね。
つまり、賃貸アパートの修繕にお金を支出することが妥当かどうかという判断は、
家庭裁判所にゆだねられてしまうのですね。

 

石脇:
そういうことです。 一方、あらかじめ、信頼できる子供たちに信託しておけば、
それが可能になります。
賃貸アパートというのは、家賃収入を安定させるためにも、
その建物の価値を維持する必要があります。そのためには修繕が欠かせません。

 

それを、管理を任された子供たちの判断で、修繕を行うことができる。
これは、賃貸アパートをお持ちの方にとっては、とても安心なことですよね。

 

佐藤:
なるほど。修繕が必要だと感じたときに、自由に修繕ができるということですね。
信託という仕組みを使えば、やりたいことが 自由に出来る、
なにかの制限や縛りがなくできる、と言えますか。

信託でできること・できないこと

石脇:
うーん、信託というと、
「なんでも自由にできる制度」
だと言われる方がいらっしゃいます。
逆にわたしは
「そうではないですよ」
とお客さまに伝えているんです。

 

実は、信託という仕組みでは、できないことがたくさんあり、
決して自由でも何でもないんです。

 

佐藤:
先ほどの賃貸アパートのお話だと、
自由になんでもできると、思えてしまったのですが…。

 

石脇:
信託というのは、信託する人が、自分の財産について、
どういう目的で、どのように管理してほしいかを、具体的に契約書に書きます

この契約書に書かれていないことは、
財産の管理を任された人は、やってはいけないということです。
先ほどの例で言うと、契約書はこんな感じです。
「この賃貸アパートを、長期的に安定した賃貸経営をすることを目的として、
必要なときに修繕工事をする。」

 

賃貸アパートの修繕工事は、契約書に書かれていることだからできるのであって、
契約書に書かれていなければ、管理を任されていたとしても一切できません。
信託という仕組みを使えば、
なんでもかんでも自由にできるということでは、まったくないのです。

佐藤:
賃貸アパートの前の話で、施設に入ることになって自宅を売るという例がありました。
この場合だと、信託を使って、自宅の管理を長男に任せる際、
「自分が施設に行くときに は、自宅を売ってほしい」
と、契約書に書くということですか?

 

石脇:
はい。例えば、
「自宅を売らざるを得ないのであれば売ってもいいよ」
という契約にすることもできるし、いやそうではなく、
「自宅の土地は代々引き継いできたものだから絶対に売るな。しっかり管理しなさい。」
という契約にすることもできます。
財産に対する、その人の想いを込めることができるのが信託ですね。

 

佐藤:
財産の管理を任された人は、
その契約書に書いてある通りに役目を果たすということですね。
信託というのは、
「自身が将来、寝たきりになったり認知症になったりしても、
今の想いを実現するための道筋を作る」
というようなイメージですか。

 

石脇:
そうですね。これは信託にしかできない仕組みとも言えますね。
(次回に続きます。乞うご期待!)

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追伸

家族信託について知りたいことがある。」

自分たち家族の場合はどうなのだろう?」

 

という方へ。

 

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もちろん、司法書士の無料相談をご利用の上、信頼くださり、

家族信託の手続きの依頼をいただければうれしいです。

 

とはいえ、家族信託の情報を無料相談でお持ち帰りなって、

それっきりの方もいらっしゃいます。

当事務所としては、それでもかまわないと思っています。

 

はじめは、

「名古屋には、家族信託に取り組んでいる

アミーズ名古屋司法書士事務所という所がある」と

知っていただくことこそ大切だと思うからです。

 

「まずは無料相談のご利用をどうぞ」と

いくら私がお伝えしても

「司法書士が自分の立場で言っていることだから」

と思われる方もいるでしょう。

 

それでも、お伝えしないよりもお伝えした方がいいと思い、

ここに思いを書いています。

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