遺言のポイント紹介

残念な遺言は少なくないです

相続の手続の仕事をしていると、
遺言を見る機会が多くあります。中には、法律的に完璧で、
家族へのメッセージという側面から読んでもすばらしい遺言があります。

 

その一方で、いろんな問題を含んでいる遺言を目にすることもあります。
「たぶん、遺言者はこういう意思で書かれたのだろうけれど、この文章だと意思を実現できいなぁ」
「『この遺言があるから、ややこしいことになるんだ』と兄弟が口にされる」
「これでは、銀行の手続きがスムーズに行かないだろうな・・」
という遺言もあるのです。

 

こういう遺言を見るたび
「せっかく遺言を残されたのに、もったいないなあ」
という、なんともやりきれない気持ちになります。

 

ご自身で書いた自筆証書遺言ならまだ、
「仕方ないか
と思えるのです。
けれど、びっくりすることに、公正証書遺言で書かれていて、
証人に弁護士や司法書士・行政書士がなっているにもかかわらず、
いわゆる「ダメ遺言」になっているものが珍しくないのです。

もしもを想定すると遺言は変わります

いくつかある遺言のポイントのうち、1つ紹介させていただきます。
それは、遺言で財産を譲ろうとした相手が、
自分よりも先に亡くなる場合についても書いておくということです。

 

たとえば、遺言で、長男に自宅を相続させると書く場合、
もしも、長男が自分よりも先に亡くなった時に、
自宅をどうされるのかを書いておくのです。

 

長男の長男(お孫さん)に相続させるのか、
次男に相続させるのかを書いておくわけです。 書いておかないと、
どうなると思いますか?長男が先になくなったら、
長男の子ども(孫)が相続するとお思いの方が多いのですが、
遺言で長男に相続させる書いた分は、法定相続分で分ける対象になります。

 

長男が自分より先に亡くなることは少ないケースかもしれません。
一方、子どものいない方で、兄弟姉妹に遺言で財産を譲ろうとお考えの方は、
ぜひ気にしていただきたいポイントです。
兄弟姉妹同士は親子より年齢が近いので、
弟、妹が自分よりに先に亡くなることは珍しくありません。

遺言を残したのに 遺産分割協議書がいる?!

たとえば、自分のほかに兄弟姉妹が6人いて、
付き合いの深かった2人に相続してもらおうと、
遺言で、
「妹にはA銀行の、弟にはB銀行の預金を相続させる」
旨を書いたとします。

 

弟が自分よりに先に亡くなると、
B銀行の預金は、6人の兄弟姉妹に法定相続分で相続されます。
つまり、B銀行の預金については、6人全員で話し合った、
遺産分割協議書(またはそれに準ずる書類)を作らないと手続きできません。

 

兄弟姉妹が相続人になるご家族ですと、
いとこ同士(故人様から見て甥・姪)が相続人になることもよくあります。
手続にすごく苦労された方もいらっしゃいます。
とりわけ、相続人の人数がとても多い、
疎遠の方がいる、認知症の方がいた、
という状況ですとなおさらです。

遺言を書き直せないこともあります

もしかすると、ここまで読まれて、
「状況が変わったら、遺言を書き直せばいいのでは?」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

 

とてもするどいご指摘で、そのとおりです。
それができれば、安心です。
とはいえ、遺言を書いた方が認知症になられるなど、
遺言を書き直せない状況になることもあります。

 

この危険を防ぐには、最初に遺言を書くときに、
可能な範囲でかまいませんので、
もしもの想定をしておいた方がよいと思います。
せっかく遺言を残されるのですから、ご自身の意思を実現できて、
ご家族に感謝される遺言であるのが望ましいと思っています。

公正証書で遺言を作れば安心?

結論から申し上げますと、公正証書で遺言を作ったとしても、
それだけで安心というわけではありません。
公正証書とは、その文章が、
その文書の作成者の意思で作られたものだということを証明してくれるものです。

 

言い換えると、公正役場は、
相続の手続をスムーズに進めるために適した内容の遺言を作ってくれる場所ではないのです。
だからこそ、公正証書で作られた遺言でも、
「えっ、なんでこのような言い回しにしてしまったのだろう」
というような遺言も出てきてしまうのです。

 

公証役場に遺言を作ってもらう前に、
相続にくわしい専門家に、
きちんと遺言の文章の案を相談することをお勧めしています。
遺言の内容がしっかりしていてこそ、
公正証書の遺言の効果が発揮されるからです。

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