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遺言のこと、 あれこれコーナー

相続分の指定だけの遺言を避けましょう

遺言で相続分を指定する方がいます。
たとえば、
『妻の花子には私の全財産の2/6を、
長男の太郎に私の全財産の3/6を、
次男の次郎に私の全財産の1/6を、 相続させる。』
といった具合です。

 

この遺言を書いた方は、
何らかのお考えがあって、
長男に法定相続分より多く、
妻と次男には法定相続分より少なく相続させたかったのでしょう。

 

その理由は、奥さんが亡くなったときの相続税を少なくするためかもしれませんし、
次男にまとまったお金を生前に贈与していたからかもしれません。
相続分の割合が決まっていれば問題ないのでしたら、
極端に言えば、遺言がなくても、なんら問題がないことになります。

 

法定相続分で相続の割合は決まっているのですから。
ところが、
遺言のない相続で何らかの衝突をしてしまうご家族のあることはみなさまご存知の通りです。
それは、相続させる割合が決まっていても、
その具体的金額をめぐって、相続人同士が意見を異にしてしまうことがあるからです。

遺産の額をめぐって意見が割れるとは?

たとえば、遺産について、
長男は、「遺産は3000万円だ」
次男は、「遺産は3600万円だ」 と、
同じ遺産についての意見が違う場合です。

 

2人の子どもが均等に1/2ずつ相続するとします。
遺産の額3000万円なら、一人の相続額は1500万円、
遺産の額が3600万円なら、一人の相続額は1800万円です。

 

このように、相続の割合が決まっていても、
遺産の額が違えば、当然、相続する金額も変わります。
遺産の額がいくらなのか定まらなければ、
遺言でそれぞれの相続する割合だけ決まっていても、
相続人は遺産分けを完了できないのです。

 

となると、せっかく遺言があるにもかかわらず、
相続人同士は遺産の額について話し合わなければなりません。
その結果、何かしらの感情的すれ違いを生んだり、
遺言を書いた方の意思と違う結果の遺産分けになってしまうこともあるのです。

 

『え??遺産の額は亡くなった人の財産だから、誰が見ても同じ額では??』
と不思議に思われるかもしれません。
ところが、どの相続人にとっても遺産の内訳は同じであるはずなのに、
その額について相続人の意見が割れることがあるのです。
たとえば、次のような場合です。

1 故人さまが不動産をお持ちだった場合

不動産がいくらか?これにはいろいろな考え方があり、
代表的な評価方法としても、なんと5通りもあります。
どの評価方法を使って遺産の額とするのかについて、決まりはありません。
だからこそ、相続人の間で、
どの方法で不動産を評価するかの意見が分かれてしまうことがあるのです。

 

故人さまが遺されたご自宅について、
長男は 「2000万円だ」と いい、
次男は 「2300万円はするだろう」 と主張する。こんな具合です。

2 相続人が特別受益を受けている場合

特別受益とは、
故人さまのご存命中に、相続人が受けた生活資金の援助のことです。
この特別受益のあった場合、次の3つのステップを踏んで相続分を計算します。

 

ステップ 1
特別受益として受け取った金額を遺産に加えます。

 

ステップ 2
1で計算された遺産の額に、相続分の割合を掛けます。

 

ステップ 3
2で計算された金額から、特別受益として受け取った分を引きます。
例)故人さまの遺産は3000万円。
長男は、自宅の新築費用として、
故人さまの存命中、故人さまから2000万円の援助を受けました。
この場合、遺産は5000万円(3000万円+2000万円)となり、
長男の相続割合が1/2でしたら、2500万円となります。
したがって、長男が今回受け取る金額は 500万円(2500万円−2000万円)となります。

ここでは、特別受益についての詳細は省略しますが、
申し上げたいことは、相続の割合が決まっていても、
遺産の分け方で相続人同士がすれ違いを起こしうるということです。

 

だからこそ、
「法定相続分が決まっているのだから、遺言は不要」
ということはもとより、
「遺言で相続の割合を決めておけば安心だろう」
という考え方はとても危険です。

 

もちろん、相続人同士のご関係がよく、
仲良く相続の話し合いをされるご家族も、遺言がなく、
法定相続分を前提に円満に遺産分けされるご兄弟も大勢いらっしゃいます。
とはいえ、せっかく遺言を遺されるのでしたら、
よりご自身の意思を明確に、
そして家族が円滑に相続のお話に向き合えるような内容にしていただきたいと考えています。

 

そのためにも、相続分の割合の指定ではなく、
具体的な遺産分けの指定をすること、
法律上正しい文言を使うことが大切なのです。

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