2019年7月発行の23号

暑中見舞い申し上げます

この季節通信をお受けとりのころには、
梅雨も明けて夏真っ盛りだと想像しています。
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 

わたしは、少しまえに、約10日間お休みをいただきました。
「5月の大型連休に、当センターは休みでしたが、個人的に仕事をしていた代わり」
または
「少しはやい夏休み」
などと、休んだ自分に言いわけをしています(笑)

民法の改正について

特別寄与料という制度がことしの7月1日からはじまりました。
この制度は、故人さまのご健在のころ、
故人さまを看護していた方で、相続人ではない方が、
相続人に金銭を請求できるというものです。

 

この制度は、ことしの7月1日以降にお身内を亡くされ、
相続の手続きをすることになるご家族に適用されます。
ことしの6月以前にお亡くなりになられた方の相続には適用されません。

特別寄与料の請求をできるようになったわけ

故人さまの生前の生活に貢献した人が、
『相続人か相続人ではないか』
によって生じる不公平をなくすためです。

 

今までの法律では、故人さまに特別な貢献をされたのが相続人であれば、
この相続人は、貢献をした分だけ遺産を多く相続することを認められています。

 

ところが、下のような方は、
相続人ではないので遺産を受け取ることはできませんでした。

 

@ 長い間にわたって、故人さまの介護をしてきた、故人さまの長男の妻。

A 故人さまに子どもはいるけれど、
 遠くに住んでいる。近くに住んでいたので故人さまの看病をずっとしてきた故人さまの妹。

 

上の@のようなときは、長男が遺産を多く受けるということで、
相続人全員が合意をして、調整できるという考え方もあります。
これに対して、Aの場合、
法律の上では故人さまの妹に遺産を受け継ぐ権利はまったくありませんでした。

特別寄与料を請求できる人とは

特別寄与料を請求するには、いくつかの条件があります。
・親族であること(ページの下の方で親族についてご確認できます)
・相続人ではないこと※1
・無償で介護などの貢献をしていたこと
(対価をもらって介護をしていたかは、請求できません)。

 

※1 条件を満たしていれば、故人さまに貢献した相続人は、
前からある制度によって遺産を他の相続人よりおおく受け継げます。

@誰に請求する? Aいつまでに請求する?

特別寄与料を請求できる人は、
答え@)
『相続人に』金銭を請求できます。
答えA)
相続が起きた(介護していた方が亡くなられた)ことにくわえて、
相続人を知ったときから6か月の間、請求できます。
相続人が複数名いて、その存在を知った日を異にするときは、
6か月以内というのは、相続人ごとに計算されます。

 

ただし、相続が起きてから1年を過ぎると請求できなくなります。

Bいくら請求できる? C相続税の申告は?

答えB)
請求できる金額=介護をした日数×日当で計算します。
日当は、介護サービスの日当と同じ程度の額になります

 

答えC)
遺産の額が基礎控除を超えて、
相続税を負担する相続人から特別寄与料を受け取りますと、
相続税の申告をしないといけません。

個人的な考え

『特別寄与料を請求されたから、致し方なく支払う』
これから、こういう方が出てくることが予想されます。

 

個人的には、このことに対して、法律うんぬんではなく、
何かがちがうような感覚をおぼえます。

 

特別寄与料の請求など行われないのが理想だと思っています。
介護など、故人さまに貢献された方には、
感謝の気持ちをもってなんらかの形でお礼をすれば、
貢献した方は報われます。

 

介護をなさっていた方も、感謝の気持ちとお礼をうけとられ、
ご納得されれば、特別寄与料を請求するまでもないわけです。

 

私はこう思います。
理想論だけではうまくいかないから法律があるのは承知しています。
とはいえ、理想をもつことで、現在からそこに至るまでの道ができます。
道ができれば、少しずつでも理想に向けて進んでいけると考えています。

相続手続支援センター 名古屋
代表 佐藤 絵里子

親族とは?血族とは?姻族とは?親等とは?

下の図は、親族の範囲、血族の範囲、姻族の範囲をあらわしたものです。

親族と血族と姻族を説明した図

親族とは

『6親等内の血族』
『配偶者』
『3親等内の姻族』
をいいます。

血族とは  

『血のつながりのある人たち』
のことです。
(養子縁組をすると、法律の上で血のつながりがうまれます)

姻族とは  

『血族の配偶者』または『配偶者の血族』です。
妻の父は1親等の姻族です。おじの妻は3親等の姻族です。

親等とは

自分から見て、法律上における
『親族との関係の近い・遠い』
を数字で表したものです。

 

数字が小さいほど自分から近く、大きくなるほど、自分から遠い親族になります。
親等の数え方とは 家系図をみて、
対象者にたどり着くまで、親子の関係があるたびに1を足していきます。

 

例をあげます。
親(親子の関係1回)→1親等。
祖母(親の親、親子の関係2回)→2親等。
兄弟姉妹(親の子、親子の関係2回)→2親等。
おい・めい(親の子の子、親子の関係3回)→3親等。
いとこ(親の親の子の子、親子の関係4回)→4親等。

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追伸

「わからないことがある」「個別のアドバイスがほしい」

などとおっしゃる方は、お気軽にご相談ください。

相談は無料で行っています。

無料相談をご利用になり、信頼していただき、

結果として手続をおまかせいただければ幸いですが、

実際にはアドバイスだけで終わる方も多くいらっしゃいます。

当センターとしては、それでもかまわないと考えています。

「相続手続支援センター名古屋」という存在を知っていただくことが、

とても大事だと思うからです。

 

まずは、お問合せだけでもされてみてはいかがでしょうか。

と、いくら申しましても、「業者のいうことだから・・」と思われる方も

いるかもしれません。

それでも、相続手続支援センター名古屋の思いをお伝えしないよりも、

お伝えした方がいいと思い、書かせていただきました。

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